気が狂いはじめた母親をとりあえず預かってもらうことにした。
その不在の間、2回の週末をダイニングまわりの掃除に費やした。母親がどこからかもらってきたという、小型冷蔵庫の裏にゴキブリが計7匹、ひっくり返って死んでいた。
小型冷蔵庫は廃棄することにした。家電リサイクル法に基づく手数料とやらで8,000円払った。死にたい。
鍋、フライパンばかりが10個以上。きっと心のスキマを買い物で埋めていたのだろう。
カーテンを外して、洗った。
窓ガラスのゴムパッキンはカビだらけ。これは僕が住み始めるおよそ10年前からこうだった。もう少し暖かくなった頃に、カビキラー漬けにしてやろうか。
発掘した真新しい圧力鍋で、クッソ安い、明らかに硬いアメリカ産牛肉のブロックを、ホロホロになるまで煮込んでやって、食ってやろうか。
ホッケの干物を外はパリパリ、中はジューシーに焼いてやって、食ってやろうか。
ガステーブルの元栓は閉じられていた。