東京駅そばの鍛冶橋駐車場から全国各地へ数十台ものバスが出発する。毎日毎晩、おそらく、これからもずっと。
ある日、僕が眠りにつくその瞬間も、誰かが夜行バスに乗り、誰かが日本のどこかへ向かって夜行バスを走らせる。それを思うと、なんだか不思議な気持ちになる。
週末におかやまマラソンを控えた金曜日のこと。仕事を定時で切り上げた僕はいったん帰宅後、前日までに旅の道具を詰め込んだメッセンジャーバッグを携えて*1、鍛冶橋駐車場に来たのだった。
そして、21:10発の岡山・倉敷行の夜行バスに乗った。
NEXCO東中西3社*2の中でも、僕の中でイケイケドンドンなイメージの中日本さんが切り盛りする新名神高速、土山SAでひと休み。凝り固まった全身を心ゆくまで伸ばしたのだった。
このSAでの休憩はわりとポピュラーなのか、最近の関西遠征で他社の夜行バスに乗ったときもここ土山SAで休憩している。そのときはここがどこの何というSAだか、わからずにいた。だが、今回、売り物のたぬきの焼き物を見て、再訪したことに気がついた。
夜行バスはこの他に2度ほど、どこぞのSAに立ち寄ってくれた。僕はすっかり眠りこけていたが。
目が醒めると、カーテンの合い間から陽の光が差し込んでいた。バスは高速から降りて、岡山市内の下道を走っていた。つまり、わりと熟睡できた。
熟睡できたのは、運転が穏やかで乗り心地が良かったことと、やはりシートの背もたれがわりと倒されていたからか。けっして僕が倒したのではない。東京駅・鍛冶橋駐車場で乗り込んでいたときにはすでに「倒されていた」のだ。
そういう心遣いをしてくれるバス会社があろうとは。初めてのことだった。
そんなバス会社とは、杉崎高速バスさん。東京~岡山間の最安高速夜行バスといえば、両備バスなのだが、あいにくチケットがとれなかった。
次にお安かったのが杉崎高速バスさんだった。両備バスとの差額は500円程度。席の後ろの人へ気を遣わなくて済む賃、トラブル回避賃だと捉えると、安いかな。
最近、断りなしにマックスで倒してくるバカなヤングが多い。そういうときは思い切り背もたれを蹴り上げるし、休憩で席を外したときにやや背もたれも戻してやるのだけれど。
ちなみに帰京では両備バスを使った。両備バスは昨年僕の紙チケットの持参失念から端を発し、ややもめたこと*3から心象が良くなかった。とはいえ、底辺ゆえに最安運賃に惹かれてしまうのが辛い。
辛いが、去年から今年までの間に前時代的な紙チケットからWebチケットに移行していたし(それでも他所と比べるとひと手間ある)、乗ったバスは両備バスでなく、提携している東北急行バスが運行していた。
岡山では、岡山駅東口にあるJR西日本が営むレンタサイクル屋「駅リンくん」でレンタサイクルを借りた。去年のおかやまマラソンで訪れた際も借りた。1年ぶり2回めである。
事前のWebでの下調べではこの岡山駅の駅リンくんがどうにも見つけられなかった。岡山は「ももチャリ」が勢力拡大中なだけに廃止してしまったのかと。この目で確かめに訪れたら、まだしっかりと残っていた。また350円ポッチで岡山の街を巡れる。おれ様は歓喜した。
そう、岡山駅の駅リンくんの魅力はなんといっても、翌日10時まで350円と破格なこと。借りる時だって、紙にちゃちゃっと一筆書くだけ。それでいて夜中の返却も不要。使い勝手が抜群なのだ。
僕を接客してくれたスッタフのおっちゃんはかつてサブフォー・ランナーだったという。ついつい、しばしのマラソン談義に花を咲かせてしまった。おまけに「鎖骨が折れとるやと。走るのに関係あらへん。気張って、完走せいや」と励ましのお言葉もいただいてしまった。
おかやまマラソンといい、大阪マラソンといい、しずおかマラソンといい、鹿沼さつきマラソンといい、旅先でのマラソンはこういったその地域の方との「交流」、とまでは言わないが、他愛のない会話がオプションであるから、また楽しいのである。オススメ!