僕にとって、とんでもなく縁もゆかりもない駅、京成千原線のおゆみ野駅からスタート。
台風24号が近づくあおりで、朝から雨だった。負荷のつもりで、左手で折りたたみ傘を持ち、振って、左肩のリハビリとした。
おゆみ野という土地は元は野山だったところを近年切り拓いたように思えた。いかにもプラスチッキーで安っぽいエクステリアの、見てくれだけの家々が建ち並んでいた。こんなしょうもない掘っ立て小屋のローンをただ払うだけの人生があることをわりとリアルに想像していたら、めまいがしてきて、吐き気を催した。
そんな家々のあいだを縫うようにしてわざとらしく作られた小道を行けば、自爆事故で左肩鎖骨を折った僕が救急搬送された病院にたどり着けると、Googleが教えてくれた。僕はそれにしたがって、歩くだけだった。
病院に行かねばならない理由とは、応急処置代の精算のためだった。3割自己負担を適用できると健保組合から確約をとれたため、残りの7割のお金を返金してもらおうと再訪した次第。
返金はおよそ3万円。3万円のために半日と往復交通費1,600円ほどを費やすのは、ややバカバカしく思えた。僕の銀行口座に振り込む等を提案したが、無碍なく断られた。だから、やむなく出向いた。左肩リハビリ散歩を兼ねて。
2キロ程度歩いたら、見覚えのある建物が前方にあった。
それにしても人気がなかった。ここまで、この小道ですれ違う人は皆無だったし、どの家々も空き家に思えた。きっと、イオンにいるのだろう。
とはいえ、さすがに土曜日も普通に診療するその病院には老人ばかり、まあまあ人がいた。僕を診てくれた恰幅のいい先生がこの日も診察していた。
返金を粛々と済ませると、無愛想な会計係にその節はお世話になった旨、そして先生にあらためてお礼の気持ちを伝えたかった旨を申し入れ、病院を後にした。もう2度とこの病院に来ることはないだろう。
JR鎌取駅に向かった。お次は駅前にあるイオンに入ったイオン薬局での精算のためだ。
ちょっと幹線道路に出るとこの有り様だった。モノトーンのジャップ製ワンボックスカーとKカーの大渋滞、ロードサイド系チェーン店だらけの光景は人を憂鬱にさせる。
まださっきの人気のない寂しい小道のほうが静かな分、物思いに耽りながら歩くことができて、マシだった。
案の定、掘っ建て小屋の住民連中はイオンに集っているだろ? ジャップ自体、もはやイオンなしには生きていけないのだ。
イオン薬局では1,200円ほどを返金してもらった。明細をよく見たら、時間外取扱の点数が大半以上を占めていた。確かにその日は日曜日で、訪れたのは20:00を過ぎていた。
痛いのをなんとかしたいのに、週末も日暮れすぎもクソもミソもないだろう。薬剤師は利権、既得権益にしがみつく、正真正銘のヤクザだ。人間のクズどもが、さっさとドラッグストアの店員に落ちぶれちまえ。てきとうな市販薬とヤマザキパンを売れ。日配品を品出ししろ。
日曜日は台風で大荒れになるというから、部屋にこもって、ロードバイクを修理に出すための梱包をするつもりだった。作業に必要なパーツクリーナーを買いに、駅からほど近いホームセンターに寄ってみた。
ホームセンターではパーツクリーナーが想定以上にお高く、400円もした。そっと店を出た。
得るものはなかったが、愉快なものを見させてもらった。ホッコリした気持ちになれた。
JR鎌取駅からは総武線でまず千葉駅へ。千葉駅で京葉線に乗り換えて東京駅へ。さらに東京駅からは上野東京ラインで北千住駅に出て、東武線で帰宅した。2時間ちょいかかった。
おゆみ野駅から病院までは約2km。病院から鎌取駅までは5kmほど。北千住駅から京成関屋駅までと、自宅から最寄り駅の往復で3kmはゆうに歩いている。
つまり、左肩リハビリ散歩のため、この日は計10kmくらいを歩いたということになる。
収穫は傘のシャフトを左肩に立てかけると、鎖骨にまさに金属同士が当たる嫌な感触が走るということ。これ、慣れるのだろうか。