ほんとうにもう何もかもどうでもいい

銭湯やらいろんなところに自転車やら自分の足で走って行ったことなどを書きたいですね。

京都府福知山市、ニコニコカプセルホテルでの夜

2018年4月のこと。福知山市の銭湯、櫻湯さんを詣でたものの、臨時休業で湯に浸かることは叶わず、胸中落胆して一晩を明かしたのがニコニコカプセルホテルであった。

 

バイパス沿いのニコニコプラザと称したビルにカプセルホテルは元より、ニコニコ温泉なる入浴施設や、カラオケ、女性専用フィットネスクラブといった、参入障壁の低い業態やフランチャイズチェーン店が同居していた。

福知山の地元企業がニコニコプラザという「箱」を所有していて、その「箱」にわりとチョロい商売を詰め込んだといった体。その地元企業は本業がきっと不動産業なのだろう。いわゆる不動産屋も入っていて、わりと遅い時間まで営業していた。

煌々と天井の蛍光灯が青白い光を放つ、人に緊張感を強いる、このロビーの右奥にフロントがあった。フロントには愛想という概念こそ知らないが、ここ福知山の地から、広く世間様に何かを訴えたさそうな、髪を金色に染めた太ましいおにいさんがいた。

衝立の向こうにフリードリンクの機械があり、宿泊者はドリンク片手にこのロビーでくつろぐことが可能。機械は見るからに汚らしく、ドリンクは不味いサントリーの品ばかりであったが、宿泊者にはわりと利用されているようだった。

飛び込みで1泊宿代2,580円を支払っての僕の部屋。
「カプセルホテル」というよりは、これは「ドヤ」だわ。

布団、まくら、シーツに不衛生な印象は皆無。横になれて、寝返りがうてるのがありがたかった。

壁は天井まで到達していない。つまり、音は筒抜け。

PCは今どき珍しく、重くて、てんで使いものにならなかった。

テレビモードにして、中世ジャップランドのノータリン連中から集めた視聴料でタモリを接待する番組を見た。

「さすが、タモリさん」がうっとおしくて、すぐさまヘッドフォンを外した。テレビはそのまま、チェックアウトするまでつけっぱなしにした。

なお、階上にあるニコニコ温泉の入泉料も宿泊費に含まれている。金髪がくれたラーメン半額券でラーメンを食べようといったん外出した。

福知山城が遠くに見えた。それよりも僕の目に焼き付いたのは、明るい部屋で、楽しそうにテレビゲームに興じる幼い姉妹だった。ほどなくして、どういうわけか、視界がぼやけてきたのであった。

目指したラーメン屋、第一旭・福知山店はバイパスを15分くらい歩いたところにあった。

第一旭は関東住まいにはまるで馴染みがない。銭湯に興味を持ち出して、銭湯に入るために初めて行った京都の五条*1でこの第一旭のラーメンを食べたことを思い出した。

ちょっと塩っぱかったが、ライスがほどよく中和してくれた。わりと混雑していた。他の客はもっぱらラーメンの類を食べていた。そう、「半額券」を使って。

退店時にまた半額券をくれた。俗に言う「第一旭地獄」である。こういう地獄は底辺にとっては歓迎すべきである。しかし、第一旭は東京にない。東京進出を切に願う僕であった。

戻ってきて、このインフォメーションをみて、僕がこの夜を過ごすフロアの全貌を掴むことができた。

僕の部屋は左上薄黄色のエリアの「カプセルホテル」ではなく、右上の黄緑色したエリアの「レンタルーム」。正真正銘のカプセルがあるのだろうか。

今までなんとなく生きてきたけど、高い地位や名声はおろか、金持ちにも、気立てのいい美人の嫁を娶ることなど到底できず、独り者。この先の人生を鑑みたところで、絶望しかない。夢もない。改善しようにも、努力は一切したくない。めんどくさい。

そういう方々がここニコニコプラザの最重要顧客(V.I.P)であり、ここニコニコプラザはそのニーズに応えようとしているだけなのだ。

そんな思索に耽りながら、コーヒー*2でひと休みした。ソファーではおじさんが口を開け、白いヨダレを盛大に垂らしながら、爆睡していた。

この後、心身ともにリフレッシュするためにニコニコプラザ最上階にあるニコニコ温泉に浸かった。このプラザ自体が高台にあって、さらに最上階にあるから、福知山の街の眺めが最高だった。

辛い。

*1:そのときに入ったのがサウナの梅湯。その頃はまだ五条楽園のネオンがあり、置屋もあった。遊んでみたのはいい思い出。

*2:サントリーのBoss。泥水。