おとといに行った「空へ、海へ、彼方へ ─ 旅するルイ・ヴィトン」展では、展示のひとつにルイ・ヴィトンの職人さんによるレザークラフトのデモンストレーションがありました。
革同士を貼りあわせるため、一方の革の床面にボンドを塗っているところ。この後、ちゃんとしばらく放置して、ボンドを乾燥させていました。
密閉できる小瓶にボンドを詰めておいて、筆で塗る…これはいいですね。僕はというと、チューブから直接なでつけたり、爪楊枝で広げたり。横着にもほどがある笑。
稔を入れているところ。
縫い穴の印をいれているところ。
入れた印に慎重に一本目打ちをあてがって…
金槌で一本目打ちを叩き、縫い穴を開けて、冒頭の写真のとおり縫っていく作業を見せてくださったのでした。
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一本目打ち…。
エルメスの展覧会でも、やはり職人さんによるレザークラフトのデモを見せてくれて、縫い穴を開けるのに一本目打ちを使っていたのですよ…。
レザークラフトをごくごく少々嗜む私めです。目打ちはもっぱら四本ないしは二本目打ちを使います。一本目打ちは持っているけれど、縫い目が開けきれていないときに使う、言わばエマージェンシー用。
ただ、エルメスの職人が一本目打ちを使うのは、一目ずつ縫い穴を開けては縫う、それを繰り返して縫い進めていくスタイルだったから、まあ納得。
しかし、ヴィトンの職人さんはまとめて縫い穴を開けているので、なんでかな?と不思議に思いました。さっそく通訳さんを介して質問してみました。答えはというと…
「工房にはもちろん四本目打ちやら、いろんな種類の目打ちがあるダヨ!限られた道具しか持ってくることができんかったんヤデ」
ですよねー。
逆に「なんだチミは。北京原人 フー・アー・ユー?」と問われてしまったので、「ちょびっとだけど、レザークラフトを嗜んでいる」旨を告げた僕。
「ならば、ユーがメイクしたサムシングをショー・ミー・プリーズ」と乞われましてですね。お見せしたのが目薬やリップスティック、モバイルバッテリー&USBコードを入れているこのポーチ。
これをすっごいほめてくださってですね。
久方ぶりに人に褒められたなアって。嬉しいなアって。
しかも、フランス人のおねいさんにですよ。生きていて良かった。胸が熱くなりました。自然と目から汗のような何かが頬を滴り落ちるのでした。
僕にしてみれば、失敗作のさらにリカバリー品なんですけどね…。蓋を後付けにしたり。糸のうまい始末の仕方も覚えねばならぬ。
「おじさんはどこかで習ったのか?」
「おじさんは工具やら材料をどこで手に入れているんだ?」
「おじさんはこれを作って、売っているのか?」
「おじさんの職業はなんだ?」
述べつ幕なしに質問を受けてしまった僕。それに答えていたら、松屋銀座への送迎バスがやってくる時刻ではないですか。慌てて、その場を去ってしまった格好となり、失礼極まりなし。
まだまだ6/19まで開催しているというから、再訪したい所存です。